同じ価格の灯具が2つ、一方は2,000ルーメン、もう一方は3,000ルーメンと書かれています。3,000のほうが無難な買い物に見えます。
当社は農業機械・建設機械向けの作業灯を製造していますが、お客様が最初に尋ねる数値がこのルーメン値です。そして、お客様の問いに最も答えていない数値でもあります。当社のカタログ自身がその反証になっています。40 W定格の灯具が55款あり、その公表出力は2,400ルーメンから4,800ルーメンまで広がっているのです。
本稿では、ルーメン値から分かること・分からないこと、米国の作業現場が実際に課されている照度の数値、そして両者をつなぐ計算を扱います。読み終えるころには、どの灯具についても公表値から、いま照らそうとしている作業の下限を満たすかどうかを算出できるようになるはずです。
結論から言うと、3,000ルーメンは狭い作業範囲を照らすには十分で、広い範囲を照らすにはまったく足りません。そして、自分がどちらの状況にいるかは、ルーメン値だけでは判断できません。必要なのはルクス、つまり作業している面の1平方メートルあたりの光の量です。ルクスは、ルーメン出力と同じくらい配光と距離に左右されます。3,000ルーメンの灯具でも、絞ったスポット配光で3 mの距離ならOSHAの下限を余裕で超えますが、同じ3,000ルーメンを機械の作業半径全体にワイドで広げた場合は、超えないこともあります。
箱に書かれたどちらの数値も、これを決めてはくれない
1ルーメンとは、灯具が発するあらゆる方向の光の総量です。その光がどこへ向かうかについては、何も語りません。
まず、箱に書かれた2つの数値が互いに何をしているかから始めましょう。当社のラインアップで、1つのワット数がどう散らばるかを示します。
| 定格ワット数 | 公表ルーメン(小さい順) | 比 |
|---|---|---|
| 24 W | 1,920 · 2,040 · 2,200 · 2,450 | 1.3倍 |
| 30 W | 1,100 · 1,200 · 2,000 · 2,100 · 2,400 · 2,500 · 3,000 | 2.7倍 |
| 40 W | 2,400 · 3,200 · 3,500 · 3,600 · 4,800 | 2.0倍 |
| 60 W | 3,500 · 4,800 | 1.4倍 |
ばらつきは一様ではありません。24 Wと60 Wでは幅が狭く、30 Wでは2灯の間で2.7倍の開きがあります。しかし、どのワット数をとっても、ルーメン値がワット数によって決まることはありません。ラインアップ全体の発光効率は、1 Wあたり約37ルーメン(30 Wのシールドビーム交換用灯具YW-3301、1,100 lm)から160ルーメン(20 Wの小型ワイド配光YW-0601-20、3,200 lm。20 Wは、上の表にある4つのワット数のいずれでもありません)まで幅があります。特定の取付形状にそのまま収まるように作られた灯具と、遠くまで届かせるために作られた灯具は、そもそも同じ種類の物ではないからです。ここに挙げた数値は、ワット数とルーメン値が同じ対象を表している単灯の製品、つまり1灯につき1つの光出力という組み合わせから取っています。除外したものが2種類あります。変換キットは、2灯分をまとめた1つの値を公表しています。多色の灯具は、ユニット全体のワット数に対して1チャンネル分の出力を公表しています。どちらの場合も、2つの数値は同じ対象を測っていません。つまり、ワット数はルーメンを決めません。
しかし、ルーメンもまたこの問いを決めません。買い手が取り違えるのは、そこです。ルーメンは総量であり、総量は方向について何も語りません。
ワット数もルーメン値も同じ2灯の間で実際に違うのは、光学系です。光がワイド(フラッド)で出るのか、スポットで出るのか、台形配光なのか、ドライビング配光なのか。この選択は、ルーメン値が同じままでも作業面の照度を数倍の幅で変えます。詳しくは配光パターンの用語解説で扱っています。いまルーメン値に押し付けられている役割は、本来この仕様が担うべきものです。
米国の作業現場が課されている照明数値
連邦の要件は存在します。そして、それはルーメンで書かれていません。州によっては独自のOSHA承認プランを運用しており、Part 1926の他のサブパートにもそれぞれの照明義務があります。ご自身の現場に何が適用されるかは確認が必要ですが、議論の出発点は連邦の下限です。
29 CFR 1926.56は次のように求めています。「建設エリア、傾斜路、走路、通路、事務所、作業場、保管エリアは、作業が行われている間、Table D-3に掲げる最低照度を下回らないように照明されなければならない。」Table D-3の内容は次のとおりです。
| フットキャンドル | ルクス(概算) | 対象エリア |
|---|---|---|
| 5 | 54 | 建設エリアの全般照明 |
| 3 | 32 | 建設エリア全般、コンクリート打設、掘削エリアおよび廃棄物エリア、通路、稼働中の保管エリア、荷役プラットフォーム、給油、現場整備エリア |
| 5 | 54 | 屋内:倉庫、廊下、通路、非常口通路 |
| 5 | 54 | トンネル、立坑、地下作業エリア全般(掘削・ずり出し・こそく作業中のトンネルおよび立坑の切羽では10 fc) |
| 10 | 108 | 建設プラントおよび作業場全般 |
| 30 | 323 | 救護所、医務室、事務所 |
先に、最初の2行を並べて読んでください。規則はこの2行でよく似た言い回しを使っています。「general construction area lighting(建設エリアの全般照明)」は5フットキャンドルとされ、一方で「general construction areas(建設エリア全般)」は、掘削、通路、荷役プラットフォーム、現場整備と並んで3フットキャンドルの行にもう一度現れます。これは規則自身の書きぶりであって、本稿の中の矛盾ではありません。そして、「建設現場」に対して単一の数値を挙げるのが危ういのも、このためです。

1フットキャンドルは、1平方フィートあたり1ルーメンです。ルクスの列は同じ量を1平方メートルあたりのルーメンで表したもので、1フットキャンドル=10.764ルクスで換算しています。
表は二度読んでください。どの値も、面に届いた光を表しています。灯具から出ていく光を表した値は、一つもありません。測定できるものを執行しなければならない人々が書いた規則は、作業面で計器を当てられる量を選んだのです。
このテーマのどの購入ガイドも、この隙間を空けたままにしています。「建設用途には3,000〜10,000ルーメン」という推奨は、厳密に誤りというわけではありませんが、反証のしようがありません。面積が付いていないため、検査官が実際に測れる唯一の数値と突き合わせる方法がないのです。
両者をつなぐ計算
照度とは、単位面積あたりの光束です。
ルクス = ルーメン ÷ 面積(平方メートル)
これは予測値ではなく、平均値の上限として使ってください。この式は、灯具が発するすべてのルーメンが指定した面積の内側に均等に届き、光学系・レンズ・入射角による損失が一切ないことを前提にしています。その面積全体の平均は、この数値を下回ります。もちろん、絞った配光であれば実際に照らしている範囲でこの値を超えることはあり得ますが、それは方向の話を別の角度から言い直したものにすぎません。上限値が役に立つのは、上限に届かない灯具は実運用でも平均値を満たせないからです。
当社の灯具で実際に計算すると、次のようになります。
| 灯具 | 定格ワット数 | ルーメン | 照射面積 | 上限照度 | OSHAの3 fc(32ルクス)との比較 |
|---|---|---|---|---|---|
| YW-3301 | 30 W | 1,100 | 100 m² | 11ルクス | 0.34倍 — 不足 |
| WL8620 | 30 W | 3,000 | 100 m² | 30ルクス | 0.94倍 — わずかに不足 |
| YW-0602-18 | 18 W | 1,440 | 25 m² | 58ルクス | 1.8倍 — 満たす |
| YW-0401-60 | 60 W | 4,800 | 100 m² | 48ルクス | 1.5倍 — 満たす |
| YW-0607-580 | 580 W | 46,400 | 1,000 m² | 46ルクス | 1.4倍 — 満たす |
まず最初の2行をご覧ください。どちらも定格30 Wの灯具です。同じ100平方メートルに当てたとき、一方は11ルクス、もう一方は30ルクスに届きます。どちらも下限は満たしませんが、両者はまったく別物の灯具であり、それでいて箱に書かれたワット数は同じです。さらに下の行を見ると、18 Wの灯具は、その行にある25平方メートルに対しては十分すぎるほどです。しかし同じ1,440ルーメンを、上の行と同じ100平方メートルに広げると、上限は14ルクスまで落ち、下限を大きく下回ります。最終行の580 Wの灯具はその裏返しです。表に記載された1,000平方メートルに対しては十分ですが、その上の行にある25平方メートルに当てると過剰になります。46,400ルーメンは、32ルクスを必要とする面に約1,856ルクスという上限を置くことになるからです。面積を結び付けるまで、そのどれ一つとしてルーメン値には表れません。
質問を正しく立て直すと、その形そのものが変わるのもこのためです。「何ルーメン必要か」には答えがありません。「3フットキャンドルを維持したい面積は何平方メートルか」には答えがあり、そこから必要な灯数が直接導けます。
2社の見積もりを比べるとき、何が変わるか
実務上の帰結は3つです。
ワット数が同じ、ルーメンも同じ、それでも別の灯具です。2社が同じワット数と同じルーメン値を提示してきたなら、どちらの性能が上かについては、まだ何も分かっていません。配光パターンを、測光ファイルがあればカンデラ分布を求めてください。差が出るのは、その数値です。
ルーメン値が大きいほうが、悪い買い物になることもあります。上の算式が示すとおり、その580 Wの灯具を25 m²の作業範囲に当てれば、作業が必要とする量をはるかに超える光を投入することになり、ヒューズで守るべき電流を引き、ハウジングが逃がすべき熱を発生させます。灯具を面積に合わせるほうが、過剰な仕様にするより安く済みます。
「実効光束(effective lumens)」は、理論光束(raw lumens)とは別の数値です。LEDメーカーのベアチップ定格を合計した値を公表するサプライヤーもあれば、完成した灯具から光学損失と熱損失を差し引いた実測出力を公表するサプライヤーもあります。両者は3分の1以上違うこともあります。この違いは理論光束と実効光束の用語解説で説明しています。見積もりにどちらの値か書かれていなければ、それが最初に確認すべきことです。

代わりに何を求めるべきか
確認できる仕様は、1つではなく3つの部分からできています。
面積と目標値。「30 m×20 mのヤード全面で54ルクスを維持する」は照度計で確認できます。「十分に明るい」は確認できません。
取付位置ごとの配光パターン。機械まわりの近接作業にはワイド、遠くまで届かせたいならスポットまたはドライビング、円形より長方形の照射範囲が作業に合う場所には台形配光を。
根拠。サプライヤーが持っているなら測光ファイル、少なくとも、そのルーメン値が理論値なのか完成した灯具での実測値なのかの明記を。
当社の作業灯は9~32 V DCと表示しており、1つの灯具で12 Vと24 Vの両方の電装系をカバーできます。仕様の話は、電圧違いの型番ではなく光学系に集中できます。
よくあるご質問
作業灯として3,000ルーメンは明るいですか。
機械に取り付ける1灯としては中位の数値ですが、この問いは、問われた単位のままでは答えが出ないことにご注意ください。3,000ルーメンで十分明るいかどうかは、照らす面積によって決まります。25平方メートルに広げればOSHAの3フットキャンドルの下限を余裕で超えますが、100平方メートルに広げると、光学損失を考える前の段階ですでに届きません。
作業灯には何ルーメン必要ですか。
面積を決めずに、この問いにルーメンで答えることはできません。照らすべき面積と、維持しなければならない照度を決めてください。29 CFR 1926.56では、建設エリアの全般照明に5フットキャンドル、掘削エリア・通路・荷役プラットフォーム・現場整備エリアに3フットキャンドルです。そのうえで割り算をします。得られるのは、すべての灯具が合計で出すべき総ルーメンであり、たいていは1灯を大きくするのではなく灯数を増やすという答えになります。
作業灯として2,000ルーメンで足りますか。
狭い作業範囲であれば足ります。2,000ルーメンの灯具を25平方メートルに広げた場合の上限は80ルクスで、3フットキャンドルに相当する32ルクスを大きく上回ります。同じ灯具を100平方メートルに広げると上限は20ルクスとなり、下限を下回ります。
ルーメン値が大きいほど作業範囲は明るくなりますか。
常にそうとは限りません。ルーメン値が同じでも配光パターンが違えば、同じ面に与える照度は大きく変わります。一方は出力を集中させ、もう一方は拡散させるからです。配光の広い高ルーメンの灯具より、距離に合わせた配光の低ルーメンの灯具のほうが、対象に多くの光を当てられることもあります。
面積を付けてから考える
次に見積もりを取る前に、2つの数値を書き出してください。作業範囲の面積(平方メートル)と、そこで維持すべき照度です。灯数、ワット数、配光パターン、3,000ルーメンで足りるかどうか。それ以外はすべてこの2つから導かれ、あとから照度計で確認できます。
お客様の機械で実際に計算してほしい場合は、取付位置と作業距離をお問い合わせに添えてお送りください。ルーメン値ではなく、必要な灯数をご返答します。まずはLED作業灯のラインアップから、高圧洗浄や継続的な振動にさらされる場合は頑丈な LED 作業灯をご覧ください。
次の記事:建設機械用LED作業灯:比較できる仕様とできない仕様では、仕様書に載るその他の数値と、そのうちサプライヤー間で比較できるものはどれかを扱っています。
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